旅2014 「東京~大阪~京都(三)」
旅2014 「東京~大阪~京都(三)」
東京から、大阪を経て、京都へ向かって旅に出た。
まだ立ち入ったことのない"街"をこの目で見、触れる為に。
友と再会する為に。
愛車の某ビッグバイク(HONDA 1500CC)"黒王"は、
今回はお留守番。。
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8月21日(木) 晴れ 第5日目 大阪→京都--------------------------------------------------
7:00 起床、朝食。
・出立の朝なので、いつもより早くホテルのバイキングへ向かう。
このホテルでは、最後の食事だ。
パスタとスクランブルエッグと生ハムと
ソーセージと味噌汁とオレンジジュース。
しまった。当初の計画では大阪滞在最終日の今日は、朝早くに
起きて早朝の大阪の街を眺めて楽しむはずだったと思いつつ、
連日炎天下の中を歩き回って疲れている自分がそんな早く
起きれたはずもをなかったので「これでいいのだ」と考え直す。
しまった。あんまりのんびり食べていると、京都での10時の待ち
合わせに遅れる。と思いつつ。「どう考えても間に合うだろう」と
やはり考え直す。
7:30 ホテル CO。
・四日間お世話になったが、特に問題もなく、バイキングも美味しく
不満なし。また来ます。
8:00 新大阪駅着。
・大阪から京都に行く手段は電車だけでも何通りかあることを
今更ながらに知る。ローカル線で各駅停車でじっくり・ゆっくり
一日くらいかけて向かってみたかったが、後の祭り。次回の
お楽しみということにして、せめて、旅行気分を少しでも味わ
おうとJRの各駅停車で向かうことに決定。それでも45分程度で
着く模様。
・車窓から風景を眺めていると、日曜日に会食する約束の友人が
一人来れないとの連絡が入る。残念。また今度!
8:45 京都駅着。
・京都にはもう何度か定期的に来ているので、京都駅に降り立つと
「帰ってきた」感あり、和む。
・地下鉄に乗って烏丸(からすま)に向かう。数年前には、右も左も
判らず近くにいた女性に目的地を告げると
「御池(おいけ)で降りてください」という関西の独特のイントネーションで
教えてもらったことをしみじみと思い出しつつホテルに向かう。
9:00 ホテル着。
・チェックインはまだ出来ないので荷物だけ預ける。こちらも何度も
利用しているホテルなので完全に「ホーム」。何となく、従業員の
方にも顔を覚えてもらっている感じ。
・ホテルを出ていつもの旅館に自転車を借りるために向かう。
商店街の裏通りにあり、周囲は特に目立った特長もない民家しか
なく、しかも碁盤の目の街なので来る度に場所を忘れている。大体
この辺だったろうという辺りまで来て、前から歩いてきた老夫婦に
尋ねてみる。
「すぐそこですよ」(^-^)
とお婆さんに快く教えて頂く。
「何となく、覚えているかなあ」
と思い出しつつ歩いていると、
「違~~う!!」(゚д゚;)
という大声が突然背後から聞こえる。
振り返ると、さっきのお婆さんが猛ダッシュでこちらに走ってくる。
通りを見回して、すでに目的の家を通過していたことに気づく。
事情をすぐに理解して、お婆さんに「わかった」というゼスチャーと
会釈をするとダッシュを止めて満面の笑顔でご主人と一緒に一礼
されて角を曲がっていかれた。
お婆さん(多分70歳超え)、貴方の老いた体を目いっぱいに使った
"美し過ぎる猛ダッシュ"しかと見届けましたよ(^-^)
・京都滞在中の全期間内を借りて、自転車を漕ぎ出したその瞬間、
自分はこの街で『自由』になる。テンションが上がる。
・待ち合わせにはまだ時間があるので、しばしチャリで疾走。
気分最高。カフェを見つけたので入ってみる。
・カフェのマスターは"街"がとても好きなのだそうで、以前は渋谷で
働いていたが、京都で働きたくなってこちらに来て10数年経つとのこと。
コーヒーとホイップクリームが乗ったゼリーを朝食代わりに食す。
友人に旅の経過をメールで打ちつつ、窓から覗く青い空をしばらく
ぼんやりと眺める。
10:00 万物創造房着。
・約一年半ぶりで店主さんと再会。特にお変わりなく。ブログを介して
年中コメントしあっているせいか久しぶりな感じが"しない"でもない。
・早速、本日のイベントのための「浴衣」をゲットするべく探索を開始。
・一軒目。浴衣の柄が豊富に揃っていて、女主人と店主さんと三人で
物色。自分の柄の希望はただひとつ。「ひたすら地味に」。
と言いつつ、風神・雷神がプリントしてある柄が気に入ってしまい
何度も繰り返し見ていると「ちっとも地味じゃないじゃないすか」と
店主さんにツッコまれ、二人の爆笑を取る。柄に関係なく浴衣と帯と
下駄との3セットで7000円弱。バラ売りはしない雰囲気。とりあえず
次のお店にGO!
・二軒目は、雑貨をメインに扱っているお店。浴衣単体で売っていて
2500円程度と安くなった感じであるが、物自体が数種類しか置いてなく、
デザインもイマイチ面白みがない。帯と下駄の分の値段を考慮すると
一軒目がそれほど高すぎるわけではないことも判った。
・三軒目は、卸業者の建物に"バーゲン"の張り紙があるのを店主さんが
見つけて入ってみる。「男物の浴衣を売ってくれないか」とのこちらの
申し出に「この中からなら、いいよ」ということで10着ほど見せてくれる。
一着だけまあまあの渋い柄があり、値段を聞くとしばしの沈黙の後、
「千円でOK」
とのこと。店主さんと顔を見合わせ、本日の最安値が出たことを二人とも
確信する。内心、大喜びするが平静を装って購入。お店の人としばらく
世間話に興じる。
「京都の"バリヤー"が年々弱まっているのを感じますな」
とお店の人がしみじみと言った。
東京は、貪欲なまでに何でも受け入れることで発展してきた街で
あるが、京都は、フィルターを何重にもかけて主体を持って雑菌を
排除してきたことで成立してきた街ではなかろか。それが、ここ
十数年の超資本主義とアジアマネーの洪水に晒されてある種の
危機に瀕している。バリヤー(=結界)が弱まり、破られつつある
というのはそういうことではないか。。
男型の街から女型の街への移行(=東京化)、それは、果たして
「京都」と呼べるのだろうか?京都はかつてない試練の時代を
向かえているのかもしれない。
・四軒目は、女物も含めて手広く扱っている感じの広い店。帯だけを
サクッと買う。下駄は店主さんが貸して下さるとのこと。
有難うございますm(_ _)m
合計三千円で「浴衣を(出来るだけ)安く購入しようミッション」は
無事に完了。
・お昼時にはまだ早いということで、チャリで適当に街を走る。
店内のレイアウトが凝っていて、屋上で畑を作って野菜を育てている
というスーパーに立ち寄ってみたり。Fさんとたまに来るとのこと。
・万物創造房の前のレンタル店に自分はまだ入ったことがないので
行ってみようということになる。VHSもまだまだ現役で棚に並んでいて
ジャンルを問わずポップも沢山張って精力的に展開している店内を
眺めて大変和む。
・目についた作品や新作映画の話、ハリウッド版リメイク二回目の
「ゴジラ」(2013)は反日過ぎて、ヤバイっすよとか話しているうちに、
MNMさんから連絡が入り、昼食を一緒に摂ることに。
・ほどなく、MNMさん到着。お元気そうで何より。近くにあるらしい
パスタ屋さんに向かう。
12:00 昼食。
・オーダーを済ませると「ホドロフスキーのDUNE」(2013)の話しに。
東京では初夏に上映済みだが、こちらではこれからだということで
二人に強く推奨する。
・サミットで行われた「悪魔の毒々モンスター大会」の話しから、
一連の毒々シリーズの製作会社であるトロマ社に話題が移る。
MNMさんがトロマ社に就職してみたいと言い出し、社員の待遇に
ついて三人で意見が割れる。店主さんとMNMさんは、それほど
儲かっていない会社であろうことから、給料は悪いだろうという
意見で、自分は"ああいうしょーもない映画"ばかり作る会社の
社長は逆に人格者であるパターンもあるのではなかろかと考え、
社員に対しては案外、高待遇であろうと予想。
MNMさん、トロマ社に就職できたら、待遇について教えてください。
・午後は何をしているのかと二人に聞かれ、特に明確には予定を
決めていないと言うと、MNMさんから京都文化博物館で成瀬巳喜男の
特集上映がやっているから観たらどうかと提案を頂く。上映予定の
チラシを見るとまだ見ていない作品が幾つかラインナップされて
いるのでそうすることに決定。夕方に店主さんのお店で集合する
ことにして、とりあえずの散会。
14:00 京都文化博物館。
・成瀬巳喜男監督作品「あにいもうと」 (1953)を鑑賞する。映画館は
夏休み中ということで無料開放しているらしい。成瀬の諸作品と同様に
登場人物達の呼吸の"リアルな間"をとても大事にして作られている。
森雅之が兄役で、京マチ子が妹役。森雅之は無責任に妹を孕ませた
学生に真っ直ぐな怒りをぶつけ、妹には敢えて辛くあたる不器用な
兄を好演している。京マチ子も若さゆえの脆さと芯の強さを持った
妹"もん"を手堅く演じている。自分がこれまで観た森雅之の役柄は
キザで余り好きではなかったがこの作品で高感度かなりアップ。
総じて良作。
19:00 万物創造房。
・参加メンバーが揃うまで店主さん特製タイカレー(美味し!)を食し
つつ雑談。そのうちにN子さん、Eちゃんが来て本日の参加メンバー
が揃う。N子さんとも久しぶりであったがお変わりなく。留学生Eちゃん
とは初対面。日本の古い建築について勉強中だとか。Eちゃんは
本日のメンバーでは最年少での参加。
・ほどなくMNMさんも見送りにと顔を出す。「あにいもうと」は夕方の
回を見たとのことで、森雅之演じる兄"伊之吉"の妹"もん"へ
寄せる想いが"キモイ"と仰るので、なぜ伊之吉が、もんちゃんへ
「キモイほどに辛く当るのか」
その理由についての見解を述べる。
・全員揃ったので上七軒にタクシーで向かう。
21:00 舞妓はんビアガーデン。
・混んでいるためか、入り口でしばらく待たされる。平日の真ん中を
敢えて狙って企画したにも関わらず待たされるほどの混雑は店主さん
には想定外だった模様。ほどなくして案内される。
・各自ビールやウーロン茶をオーダーしてとりあえず乾杯。"舞妓はん"は
主に庭の方で忙しく客の相手をしていて店内ではベテランの芸妓さん
達がお相手という感じなのか。我々の相手を最初にしてくださった
ベテラン芸妓さん「梅嘉」さんは目が大きくて姐御肌のある感じ。30歳
半ばくらいか?お酒がとても強そうで笑いかたが豪快で五所平之助の
傑作にして代表作「大阪の宿」(1954)で乙羽信子が演じる"うわばみ"
を思い起こさせた。
・当然ではあるが男性客が多く、一人での来店者もいる様子。彼等の
芸妓とのやり取り(ある種の駆け引き)は溝口健二の傑作「祇園囃子」(1953)
での"魂胆のある男たち"と芸妓の闘いを連想させ、「独特の空間」を
非常に上手く再現した作品であったことを再認識。
・30分ほどして店の外に場所を移動。今度は念願の"舞妓はん
「勝音」さんがお相手。19歳とのことで、学生兼業の「なんちゃって
舞妓はん」ではなく、ちゃんと?中卒からこの道一筋で精進している
とのこと。
「人間関係に悩んで辞めていく人が多い」
という生々しい話しを聞く。同期で残っているのは5,6人だとか。
そのせいか、可愛げの中に、すでに『芸の道』で数年を修行して
いる貫禄と意思の強さも垣間見えた。
今は、可愛く強かに。いずれは、優美に優雅に。
あくまでも自分らしく咲いていって欲しいものだ。
道のりは長く険しいだろうが、頑張れ、勝音。
22:30 舞妓はんビアガーデン終了。
・到着がやや遅かったこともあり、名残り惜しい感じであっという間に
閉店の時間に。でも、もう少し居たいくらいが調度いいのかも。
・タクシーを拾うために表通りに向けて四人でしばらく歩く。人気が
なく灯りも少ない時間帯となって、石畳の路地と古風な建物が浮かび
上がる。随分前に店主さんと約束した企画は無事に果たされた。
<=== Back To be continued ===>
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