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2014年11月23日 (日)

映画「地球最後の男」

「地球最後の男」

原題名: THE LAST MAN ON EARTH
            L' ULTIMO UOMO DELLA TERRA

原作: リチャード・マシスン   
監督: シドニー・サルコウ,ウバルド・ラゴーナ
脚本: ウィリアム・レイセスター,フリオ・M・メノッティ   
撮影: フランコ・デリ・コリ
音楽: ポール・ソーテル,バート・シェフター
出演: ヴィンセント・プライス,エマ・ダニエリ,ジャコモ・ロッシ=スチュアート   

時間: 86分 (1時間26分)
製作年: 1964年/イタリア,アメリカ

(満足度:☆☆☆☆+)(5個で満点)
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人類が死滅して丸三年が経過。"地球最後の男"となった科学者のロバートは、
今日も日課をこなす。カレンダーに記を付け、日が暮れないうちに吸血鬼を見つけ
出し、杭を打ち、殺し、焼却する。スーパーに行き、ニンニクを調達する。ある日の
夜、いつものように"奴ら"の襲来に対抗しつつ、平穏だった日々の8mmの記録
映像を再生していると、ロバートに懐かしい記憶が蘇って来る。。

 

 オープニングがとてもシンプルだけど秀逸。禍々しい太陽と、異常なまでに
静かな団地とハイウェイ。『何かが起こってしまった後の世界』だということが
瞬時に理解できる。個人的に学生の頃に撮りたかったイメージそのもの(←撮れよ)
大変和む

"THE END HAS COME"  (終末が来ました)

 前半は、"地球最後の男"の日常が主人公の状況説明のモノローグと共に
淡々と描かれ、「自分だったら、この状況をどうするだろうか?」というシュミ
レーションにじっくりと浸れる。

電気や、その他のインフラがどうして止まらないの?

という基本的なツッコミは置いておいて、主人公の孤独と絶望はなかなか
良く描けていると思う。彼が気が狂うことなく、たった一人で、闘い続ける
ことが出来るのは、科学者だからであり、世界が死滅した過程と、その理由を
"知っているから"だということが次第に明らかになる。

 中盤は、ロバートの回想シーンとして、人類が破滅していく過程が描かれる
が、一番足元の家族が崩壊していくという当たり前の恐ろしさが描かれ、
「世界の終末」の恐ろしさを昨今の数十億円もかけたCG映像や、集団パニック
映像よりもよほど涙を禁じえないエモーションな描写になっていてひどく関心。
個人的には、このまま孤独な人間の心の変遷と、絶望と、その克服を描いて
欲しいと願ったが、そこは、興行作品なので、扉の向こうに毎晩押しかけてくる
モンスター達に焦点を当てなくてはならない。勿体無い!が十分に及第点で
ある。

 中盤以降は、「人間VS吸血鬼」にもう一層噛ませた意外な展開に移り、
クライマックスは、

異端のマイノリティ VS 凡庸なマジョリティ

という世界に散らばる人類が延々と繰り返してきたであろう「愚かな道」
風刺したとも思える古典的な展開であるが、卒のない出来。

 愛する家族、妻、最愛の娘、友人、科学者としての世界への対応、
集団ヒステリー、密室劇、一個の人間として、男としての意地、そして、
『地球最後の男』としての誇り。。

 低予算と約90分の枠組みの中で、盛り込んでいるテーマの大きさと
深さと、派生するサブテーマの多さの処理まで。区切り加減について
「お見事」と言えるだろう。これからもリメイクされ続けるに違いないが、
何度リメイクされても本作は総合的に上位から脱落することなく語り
継がれていくことだろう。

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コメント

この映画
ほんまに低予算で
CGとかもなく
派手なSFXを使うでもないのに
立派にSFしてるんですよねー
 
その後のリメイクは
それぞれそれなりに金かかってるんですけど
リメイクされる度に劣化コピーのようにどんどん質が悪くなってるのが不思議です
 
そういや
藤子F不二夫がこれをリメイクしたような短編を書いてましたが
これはなかなか面白かったですね
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%81%E8%A1%80%E9%AC%BC
さすがです

投稿: 万物創造房店主 | 2014年11月25日 (火) 23時01分

>立派にSFしてるんですよねー
 
中盤までの物語の展開が余りに
しっかりしていて、それだけで感動しましたよ。
マジで。
 
>リメイクされる度に劣化コピーのように
どんどん質が悪くなってるのが不思議です
 
この作品は、世界観がきちっとしているのに、
リメイクは未見ですが、恐らく
「最後の男」の方にフォーカス当て過ぎでしょうね。
 
・全人類が消失した不気味さと謎と過程の恐怖
・本当に自分一人か?という疑念。孤独
 
「人間」の存在意義そのものを問いかける
SFの本来の役目
SFにしている理由は存在の「本質」に迫るため
なのに、無数の駄作は「プロット」の方にすぐに
目が行ってしまってお金をそちらに使ってしまいますね。
 
>藤子F不二夫がこれをリメイクしたような短編を書いてましたが
 
これは、知らないすねー
私はドラえもんの
「独裁スイッチ」を思い出しながら観ていました。
 
「ジャイアンでもスネ夫でもいいから
出てきて欲しい。独りじゃ生きていけないよー」(´;ω;`)

のび太君の心境が学習できて、また一つ成長できました。
o( ̄^ ̄)o
 
いやー映画って素晴らしいですね!
(*^ー゚)b

投稿: kuroneko | 2014年11月26日 (水) 00時35分

藤子F不二夫は
短編でけっこう毒あるヤツ描いてて
いいんですよ
 
猿の惑星に影響を受けたらしい
「ミノタウルスの皿」も好きです
 
牛が人間家畜にしてて食べるというのをコミカルに描いているのがすばらしい
 
子供心に「おもしれー!」と思った記憶があります

投稿: 万物創造房店主 | 2014年12月 2日 (火) 00時43分

>短編でけっこう毒あるヤツ描いてて
いいんですよ
 
 
「一人ぼっちの宇宙戦争」
は何回読んだかわかんないですねー
それと、同じ巻に収録されていた

Nゲージに熱中する青年の話

のラストはすげー好きでした。

投稿: kuroneko | 2014年12月 2日 (火) 23時42分

それは一巻ですね
三巻とも読んどきましょーよー
 
「一人ぼっちの宇宙戦争」は実写化しやすそうで
いいなーと思った記憶があります
 
Nゲージの青年は
あんだけキチガイなのにかわいいGFがいていいなー
(^_^;)

投稿: 万物創造房店主 | 2014年12月16日 (火) 21時24分

>三巻とも読んどきましょーよー
 
OKっす(^o^)/
そういえば、藤子不二雄Fの絵柄に久しく
触れてないすねー読みてぇヽ(;´Д`)ノ
お正月に読もう。
 
  
>あんだけキチガイなのにかわいいGFがいていいなー 
 
コメントしずれぇ。。(一。一;;)
でも、やっぱりあのラストは好きだなー
元ネタあるんですかねー
無いとしたら結構凄いと思う\(@o@)/

投稿: kuroneko | 2014年12月17日 (水) 00時59分

>触れてないすねー読みてぇヽ(;´Д`)ノ
そういや今
藤子F不二夫大全集が出てるとこで
少し不思議シリーズも全部まとめて出るみたいです
 
「タイムパトロールぽん」もオススメです
 
>元ネタあるんですかねー
あれはなさそうですね
案外自分のことだったりするんじゃないでしょうか…

投稿: 万物創造房店主 | 2015年1月 2日 (金) 21時22分

Amazonでクロネコさんの買った「地球最後の男」が10万円になっております
誰もその値段では買わないと思いますけど…(-_-;)

投稿: 万物創造房店主 | 2015年1月 2日 (金) 21時35分

>「タイムパトロールぽん」もオススメです
 
これは、全く手付かずの作品すねー
そのうち見てみましょう。
 

>あれはなさそうですね
案外自分のことだったりするんじゃないでしょうか…
 
っつーか。
あのラストは「形容し難い不思議さ・不穏さ」に
ガキだった当事物凄い衝撃受けましたね。
まーさに、
「少し(S)不思議(F)な物語」\(@o@)/
意のままに操られたかつてのガキが確かに一人
ここにいることを
藤本 弘さんはきっと天国で喜んでおいででしょう。。
 
 
>「地球最後の男」が10万円になっております
 
どうして、そんなことに。。( ̄ロ ̄lll)
欲しい人いましたら
1万円くらいでよろしければ私の譲りますよーo(^o^)o

投稿: kuroneko | 2015年1月 4日 (日) 22時59分

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