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2015年1月 4日 (日)

映画「オフェリア」

「オフェリア」

原題名: Ophélia
監督: クロード・シャブロル
脚本: クロード・シャブロル,ポール・ジェゴフ
出演: ジュリエット・メニエル,アリダ・ヴァリ,サッシャ・ブリクェ,クロード・セルヴァル

時間: 103分 (1時間43分)
製作年: 1962年/フランス

(満足度:☆☆☆☆+)(5個で満点)
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 1) 誰に、何を話すべきか。
 2) いつ、何をすべきか。

本作は、これが出来ない(しようとしない)青年と、その青年に半分はひきずられ、
半分は自分達自身のことで気が狂わんばかりになる「家族」を描いている。

富も、名誉も、地位も、豪華な召使付きの家も、調度品も、
コミュニケーションが破綻していては、何も意味を成さない。

 ・静寂と、他愛の無い会話を楽しむべき食事は無残に破壊される。
 ・一家団欒も破壊。
 ・パーティでの周囲と家族の細やかなバランスも破壊。

 "幸せ"の何と希薄な卵の殻のように罅の入りやすいことか!

 規範を外れた人間を延々と描写していく。これは、規範内で
生きる人間の

「エゴ」

 をも同時に表現していることでもある。

 製作年の1960年代初頭は、社会にはまだ謎が在った『最後の時代』で、
製作者は、眼前の世界の複雑さと、残酷さと、美しさをそのまま捉えれば、
余りの荘厳さに創造力は負けてしまうことを自覚していたであろう最後の
時代の、最後の作品ではなかろうか。

 これ以降、『社会』は死に、幻想の中でしか生きられないことが証明され、
人間は、自分の内的空間=思考の中に"引きこもり"を開始する。

 「映画」もまた。、どの瞬間も誰かが担当して作り出した"工程の集まり"に
過ぎなくなる。演技され、着色され、声をあてられ、試写を繰り返され、
編集され、音を別途加工され、make money  するため、ただそれだけの
ために何もかも調整された『何か』へと変貌を遂げる。

 あるいは、もっともっと前から起こっていた変化が、遂に表面まで現れて
誰の目にも明らかになった「境界」に位置する作品なのかもしれない。まるで、
エイリアン・シリーズの前章譚「プロメテウス」(2012)で描かれる「エイリアンの素」
でも混入されたかのように。

 あるいは、「最初からそうだった」ものに回帰しただけなのことなのかもしれない。

 "オフェリア"(オフィーリア)は戯曲「ハムレット」にハムレットの恋人として登場する
女性の名前で、19世紀の画家ミレーによる同名の作品が名高い。

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映画」カテゴリの記事

コメント

あ、そういや
プロメテウス観てないや…

いつか観なければと思いつつ
ころっと忘れてた…(^_^;)

投稿: 万物創造房店主 | 2015年1月 5日 (月) 16時44分

>プロメテウス観てないや…
 
はっきし言って
いつ観ても(観なくても)いい作品っす(。。)ゝ
「ギミックまあまあ」程度っすね。
自分はリドリー・スコット作品に今後期待しないでせう。。

投稿: kuroneko | 2015年1月 5日 (月) 22時43分

そう言われると
ますます足が遠ざかるー(^_^;)
 
今後期待しないとまで…

投稿: 万物創造房店主 | 2015年1月11日 (日) 20時25分

「ブラックホーク・ダウン 」(2001)
までですかね。

リドリーさんに映画を作る使命感のような
"熱さ"を感じるのは(^^;)
 
「キングダム・オブ・ヘブン」(2005)
「アメリカン・ギャングスター」(2007)
 
辺りからどうもハングリー精神の欠如を顕著に感じますな。
もっと速く走れるのに
「これくらいの速度で優勝っしょ。賞金GETっしょ。十分っしょ」
みたいなー(←言いすぎかな^^;)

「プロメテウス」(2012)
も然りですね。
映像そこそこ凄いちゃー凄いけど
「お金」で出来てる感じ。
別の無名の監督が作ったっていてもわかんないです。
きっと。パッションがねー今ひとつです。
まあ年齢的にもう余生を楽しむのは仕方ないけども。

傑作を幾つもすでに遺しているから
全然リドリーさんを非難する気はないすけども(^-^)

投稿: kuroneko | 2015年1月12日 (月) 00時14分

僕は「ブラックホークダウン」もダメでしたけど…(^-^;
 
まぁー終わった人なんですね…

投稿: 万物創造房店主 | 2015年2月 9日 (月) 20時46分

>僕は「ブラックホークダウン」もダメでしたけど…(^-^;
 
自分はコレは一応合格ですね。
「敵を斃すためではなく、仲間を助ける為に犠牲が増えていく」
というカオスはよく描けている作品だと思います。
 
テロリスト達に囲まれた米兵がコクピットから引きずりだされて
殺された上にひきず回されるという当時、実際に起きたエピソードも
割と忠実に映像化されていて「異文化バトル」という側面でも
よく描けている作品だと思います。
  
今の自分の肥えた眼からは色々ツッコメますが(^^;)
 
この作品は映像美しかったなーと思って今調べたら
スワヴォミール・イジャック
というポーランド人が撮影監督やっていて
「殺人に関する短いフィルム」
「トリコロール/青の愛」
なんてイカシタ作品撮ってますね。
 
「戦争とは実は絵的に美しい」という
不都合な真実も描けている作品だと思います。
 
 
>まぁー終わった人なんですね…

しかし
エイリアン
ブレードランナー
ブラック・レイン
グラディエーター(未見)
・・・
充分に凄いっすホント( ̄ロ ̄lll)

エクソダス:神と王
も実は少し気になっていたりしますが、、
多分観にいかないだろうな。

投稿: kuroneko | 2015年2月10日 (火) 00時12分

>「戦争とは実は絵的に美しい」という
 
僕は
だからこそ失敗だと思うのですね
監督は
プライベートライアンに触発されて
俺もあーゆーの撮りてーって撮ったらしいんですけど
なんかリアルと云うよりファンタジーなんですよ
エイリアンとさほどリアル感は変わらないかと…
 
しかも淡々と観察者の立場を守ってるわけでもなく
アメリカ万歳演出が多いしー
アラブ人とエイリアンの扱いが一緒で
何かイラっと来ます
 
まぁそれがアメリカ人としてのリアルな感覚なのかもしれませんけど…



>エクソダス:神と王
なんか題材が今さら感満開ですね
年老いて説教したくなったか…
 
それに
いくらCGに金使っても
「十戒」は越えられない気がしますが…(-_-;)

投稿: 万物創造房店主 | 2015年2月14日 (土) 20時42分

>なんかリアルと云うよりファンタジーなんですよ
エイリアンとさほどリアル感は変わらないかと…
 
「ハンニバル」(2001)
に対しても同じような感想を見ましたね。
まあでも
リドリー・スコットを擁護するわけではないのですが
画家を志望していたし
「ブラック・レイン」も
完全にファンタジー
だし
ある意味
「アメリカン・ギャングスター」
もそうだし
「ブレード・ランナー」
「プロメテウス」
...
実は全て同じ「環」の中にあるのかもですね。
 
 
>アメリカ万歳演出が多いしー
 
一応この作品では
アメリカ寄り(自分達寄り)を「皮肉」として
描いているとは思います。
確かラストで星条旗が意図的にモノクロ
になっていることでも
ハリウッド超大作としては
それなりに頑張っているすかね。
温いっちゃー温いすけども(^^;)
 
リドリー・スコット作品のある種の
物足りなさは過激な作品に見えて
パトロンに実は従順であるということすかねー
 
 
>年老いて説教したくなったか…
 
「グラディエーター」
「キングダム・オブ・ヘブン」
の系列の(一見)壮大な絵物語だと思われ。
"好き"なんでしょうね。きっと。
大きな戦記を俯瞰して見るという構図が。
絵的に。
中身は予算と脚本とキャスティングもろもろから
それなりにと。
 
 
>「十戒」は越えられない気がしますが…(-_-;)
 
1956年の作品ですか。。
もうそろそろ超えたい時ですね。
画像としてだけなら
クリストファー・ノーランが可能なのか。
いや、
ジェームズ・キャメロン
ですね。
やっぱし(^^;)
原爆投下映画の企画再開してほしいなー
 

投稿: kuroneko | 2015年2月15日 (日) 11時32分

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