« 繰_15_02_19 | トップページ | 零_15_02_27 »

2015年2月25日 (水)

映画「アメリカン・ビューティー」

「アメリカン・ビューティー」

原題名: American Beauty
監督: サム・メンデス
脚本: アラン・ボール
撮影: コンラッド・L・ホール
音楽: トーマス・ニューマン
編集: タリク・アンウォー,クリストファー・グリーンバリー
出演: ケヴィン・スペイシー,アネット・ベニング,ソーラ・バーチ,ウェス・ベントリー

時間: 122分 (2時間2分)
製作年: 1999年/アメリカ

(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)
---------------------------------------------------------------
 夫婦仲が冷え切った一人娘のいるとある家族。夫のレスター・バーナム
(ケヴィン・スペイシー)は生活の全てに無気力で人生の目標を失っていた。
妻のキャロライン(アネット・ベニング)はそんな夫に気遣うこともなくビジネス
パートナーと関係を持つようになってしまう。娘のジェーン(ソーラ・バーチ)は
自分の友人に色目を使う父を軽蔑しきっていた。どこにでもあるバラバラな
"ごく平凡な"家族。そんなバラバラなバーナム家の隣りに同じくどこにでもある
バラバラな家族が引越して来る。人々はピースの合わないパズルのように
犇めき、叫び、憎しみ合う。そして、、
 
 
 サム・メンデスの34歳の時の初監督作品。スティーブン・スピルバーグに
その才能を見初められ、アラン・ポールの手堅い脚本とコンラッド・L・ホール
のうっとりとする撮影、実力のある俳優陣という最強の布陣を手にしての幸運な
処女作となった。そして、ただ運が良いだけではないということは本作と、
メンデスのその後のキャリアを見れば充分に明らかだ。

 パラノイアに近いと思える人物ばかりを出現させて、本当にヤバイ人物は
実は一人もいない。ということがこの作品に深みを与えている。観終わって
みれば、一番まともなのは、ジェーンを除けば実はレスター・バーナムでは
ないのか。そのややこしくて不運な男レスターを演じているのが曲者役を
やらせれば右に出る者無しのケヴィン・スペイシーが演じるのだから勝った
も同然
である。

 全体的にボーダー以上の作品で、技術的な設計に裏打ちされたコンラッド・
L・ホールの撮影だけでも観る価値がある作品であるが、何ら問題が無い
ゆえに、クライマックスの展開では"脚本上"においては良く出来ているが
そこに映像と演技と音楽(効果音)の付いた「映画」という最終形態としては
どうかというと弱いといえば弱いと感じた。

 登場人物達は尽く、事情は異なるが人生のどこかで傷ついて躓いて
いる人々だ。そして、現在の不遇は自分が誰かのお陰で傷ついているから
だと思いつつも平静を装って生きている。

 その仮面を被った自分を捨て去ることと、クライマックスにおいては異なる
点が交差しているが、交差の順番とどれを選択するかはゆっくりと起こった
順に考えてみるとどうなのだろう。結び目が出来上がっているように見えて、
実はほどけている気がしないでもない。それはサム・メンデスの若さに起因
するものなのだろうか。サム・メンデスはいつか、このもの凄い面子で処女作を
作れたことに敬意よりも畏怖を、やがては恐怖すら覚えるのではなかろうか。

 ソーラ・バーチは目の力が強くて、強情に見えて、実は柔軟な思考を持つ
思春期の終りの娘を好演しているが「穴」(2001)でも本作と同じような捩れを
抱えた難しい性格の役を上手く演じている。

---------------------------------------------------------------
映画感想一覧>>

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

|

« 繰_15_02_19 | トップページ | 零_15_02_27 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 繰_15_02_19 | トップページ | 零_15_02_27 »