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2015年7月25日 (土)

映画「サンセット大通り」

「サンセット大通り」

原題名: SUNSET BOULEVARD

監督: ビリー・ワイルダー
脚本: ビリー・ワイルダー,チャールズ・ブラケット,D・M・マーシュマン・Jr   
撮影: ジョン・サイツ
音楽: フランツ・ワックスマン
特殊効果: ゴードン・ジェニングス

出演: グロリア・スワンソン,ウィリアム・ホールデン,エリッヒ・フォン・シュトロハイム,ナンシー・オルソン   

時間: 110分 (1時間50分)
製作年: 1951年/アメリカ

(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)
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脚本家のジョー・ギリス(ウィリアム・ホールデン)は借金取りに追われ往年の
女優ノーマ・デズモンド(グロリア・スワンソン)の邸宅に逃げ込む。ジョーは
デズモンドに囲われ彼女が復活を果たす為の脚本を書かされることになる。。

 

 ノーマ・デズモンドのカード遊び仲間として主人公のジョーに蝋人形呼ばわり
されてしまう俳優仲間の中にさりげなく喜劇王のバスター・キートンが居るのが
楽しい。またハリウッドの裏と表を知り、名声の美味と人心のいい加減さを骨身に
知り抜いているエリッヒ・フォン・シュトロハイムの執事の役所も、氏の演じながら
の胸中を推測して演技を観るのも本作の大きな楽しみの一つといえる。

 第二次世界大戦の惨禍が一段落して、時代はトーキーからカラーへ。恐ろしい
までの「大消費社会」へと向かう時代の入り口に立ち、ハリウッドも大きな新陳代謝を
迎えていた時代であることが作品から伺える。

 「大衆は、眼では飽き足らず、耳まで欲し、女優は大きな声を
 上げねばならなくなった!」

 ノーマ・デズモンドを圧倒的な迫力で演じるグロリア・スワンソンは、過ぎ行く
時代を生きた映画人達の心境を代弁し、文字通り、"絶叫"する。

 現実のハリウッドを生きた女優グロリア・スワンソンは、チャップリンの
初期の盟友マック・セネットと共に売り出し、劇中に描かれている通りに
セシル・B・デミルに見出され、週給2万ドルという大スターになり、ほぼ劇中に
描かれている通りの軌跡を描いて人気に陰りが出て斜陽を迎えていた
当時、ビリー・ワイルダーから本作へのオファーがあり、「復活」を果たし
3度目のアカデミー賞候補になったとのこと。

 劇中の鬼気迫るノーマ・デズモンドのキャラは"伊達"ではないどころか
「真実」に限りなく近いのかもしれない。主役のジョーを演じるウィリアム・
ホールデンも同様に戦争を挟んで低迷していたが本作で息を吹き返した
とのこと。

 ジョー・ギリスとナンシー・オルソン演じるベティ・シェーファー達の
"次の世代"は旧世代の"まず俳優(=スター)ありき"のスタジオ主導の時代を
冷ややかに見る台詞を炸裂させつつ、全体としては、DWグリフィスチャップリン
セシル・B・デミルの伝説の時代への敬意も忘れない。

 本作を演出するビリー・ワイルダーを、まるで次期社長に目される有望な
中間管理職のような立場を感じさせる物語が実に可笑しい。

 主要登場人物とキーパーソンの生年月日を見てみると、、
([]内は本作公開当時の年齢)

ビリー・ワイルダー( 1906)  [45]
グロリア・スワンソン(1897) [48]
ウィリアム・ホールデン(1918) [33]
エリッヒ・フォン・シュトロハイム(1885) [66]
セシル・B・デミル(1881) [70]
バスター・キートン(1895) [56]

 世界的に長寿・高齢化の21世紀の今という時代から見れば、年齢的には
時代遅れというよりも皆、円熟期に入り脂の乗った「良い年齢」という認識に
なるのだが、政治・経済・文化の入れ替わりと盛衰が激流そのものだった
当時の時代の流れからすると自他共に過ぎ去った人々として自覚していたの
かもしれない。

 ビリー・ワイルダーの立ち位置は時代の流れ的にも将に中間管理職そのもの
で実に面白いタイミングで現れた優れた才能と言える。

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