« 映画「お国と五平」 | トップページ | 観_15_09_20 »

2015年9月17日 (木)

漫画「親父衆」

漫画「親父衆」

 
 

 漫画。

というよりも、

 漫画エッセイ。

といういうよりも、

 これは、、、

 『漫画論考』

とでもゆーような、他に類を見ない実に画期的なマガジンだと思う。

内容と指し示した方向性の意外性としては、
「発明」と言っても過言ではあるまいと思う。

 何が画期的かとゆーと、

『親父(オヤジ)』というキーワードと世界中に溢れる愛すべき、
または忌むべき、オヤジ達を対象(素材)にはしているが、

 その素材(=オヤジ)をどう料理すべきかは、究極に完全に
各作家陣に委ねられ『自由』なのである。

 同じキーワードをこれほどまでに自由に、しかもこれほどまでに
各作品がクオリティ高く、ほとんど全ての作品が繰り返し繰り返し
読むに値する作品集は絶後と言ってよいのではあるまいかと思う。

 そして、どこまでも賞賛すべきは、その作家達の視点の格調の高さ、
人としての『人』というものへの"根源的な賛歌"(←超大事)により、
下品な、下衆な、自分を棚に上げて、他者(オヤジ)をただ貶め、
ただ嘲笑うものには微塵もなっていない点であろう(いや、少しは
なってはいるが(^^;))。

 生きとし、生ける者は皆ことごとく老いる。

どんな美男子も、男はいずれ皆皺くちゃのオヤジになり、
どんな絶世の美女も、女も皆いずれ皺くちゃのオバハンになり果てる。

 そんな自分たちを戯画化して、巷を悠然と闊歩するオヤジ達を
少しデフォルメし、いずれ、あるいはすでに同じ位置にいる自分たちと
共に応援する。

 彼ら、彼女らは、皆必死に生きている。他人の視点なんぞは
かまってはいられない。

 そう、それは、実は老いも若きも全ての世代に共通する

エゴ

であり、世の"オヤジ衆"はそんなエゴを隠すことをすっぱり潔く
(あるいは悪く)止める代償として家庭で、外で、店内で、あらゆる
場所・時で後ろ指をさされ、小馬鹿にされることを潔く(あるいはどこまでも
往生際悪く醜態を晒して)受け入れた

 そんな彼らを作家達の眼は鋭く見抜く。

 彼らの浅墓な、表面的ではない生命としての『美しさ』

 だから、本書は、笑い、ニヤケて、何度も何度も読み返しているうちに
やがて考えさせられ、やがては泣けてくる。そして、、感動する。

 昨日まで、電車で、道端で、見かけていた親父達に抱いていた
自分の気持ちがとても恥ずかしくなる。

 「自分とはどこまでも関係ないのだ」という偽りの排他的な気持ちを。

 掲載されている作家陣で個人的に嵌った(笑った)作家は以下。

中川いさみ
すぎむらしんいち
吉田戦車

上記三人は自分としては自己の客観視としての笑いの「質」と作品としての
練りこみがかなり高いと思う。

 勿論、他のまでじ豪華すぎる執筆陣も漏れなくグッジョブです。

 「老いる」ことをこれほどまでに作品として昇華し、肯定してみせた
あなた方の仕事に、世の親父衆に乾杯そして、惜しみない拍手!!

 

----------------------------------------------
「親父衆 」
親父&おばはんorそのどちらかの予備軍漫画家33人著
集英社



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

|

« 映画「お国と五平」 | トップページ | 観_15_09_20 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

調べてみれば、描いている作家さんが超豪華ですね。
しかも比較的新しい?

>中川いさみ
ファミ通の地味漫画というイメージしかないですけど
やはり当たり外れがあるんですかね


>吉田戦車
最近見ないですけど
こんなところでコツコツやってはったんですねぇ
吉田戦車は「いじめてくん」が好きでした。

うーん気になる。(現在の大友克洋はさておき)
買おうかな

投稿: ベジ太 | 2015年9月20日 (日) 20時33分

>調べてみれば、描いている作家さんが超豪華ですね。
しかも比較的新しい?
 
そうすねー
余りに豪華過ぎなので自分は敢えて触れませんでした( ̄∇ ̄;)
 
この本の仕掛け人の意図がかなり明確と思える布陣ではなかろか。
それは、、
「メジャーである・なしに関わらず"面白い漫画"が
描けそうな、今後描きそうな作家に声をかけた」
と私は(企画意図を)読む。(^^)
 
  
>中川いさみ
ファミ通の地味漫画というイメージしかないですけど
やはり当たり外れがあるんですかね
 
そうだね。この本では肩の抜け具合が一番良い感じが
自分はする。作家陣の中でも一番描いてる方なんだけど
(何本も描いている人から1本だけの人まで実に幅があり)
中川いさみのは平均値高いんだけど
自分が突出して面白いと思ったのは1本だけです。
どれなのかは読めばすぐ判ると思うけど(^-^)
  
 
>吉田戦車
最近見ないですけど
こんなところでコツコツやってはったんですねぇ
吉田戦車は「いじめてくん」が好きでした。
 
もう一時代を確実に築いた人だからね。
こう人が悠々自適じゃないとおかしいと思う。
経済構造・社会構造的に。

自分は氏の作品自体は正直ほとんど親しんだことが
ないんだけどここ数年、奥様(伊藤理佐)を始め業界人からの
評判や氏が他の作家に寄稿する漫画や文章を読むにつけ
大変"誠実"を感じる人だと思っていたっす。
 
面白いギャグ漫画を描く作家ほどその多くは
"極めて常識人・良識人"というのはほぼ定説らしく、
実際、「親父衆」の中で恐らく最も一市民としての
誠実さ・真面目さが滲み出ているエピソードを
描いているのが吉田戦車だと思う。そこが、彼の
歩んできたキャリアとのギャップが可笑しくて自分でも
よくわかっていると思えるところが笑える(^o^)


>うーん気になる。(現在の大友克洋はさておき)
買おうかな
 
本好きにとっては
常識であり、イロハの"イ"であり、ABCの"A"なんだけども
もうずっと以前から
『あらゆる本(含漫画)は鮮度の短い!"生もの"である』
ことになっておりまして

売れれている本→利益の出ているうちに絶版(ーー;)
売れていない本→損益の膨らまない内に絶版(ーー;;) 
どっちでもない本→どっちに転んでも転ばなくてもとりあえず絶版(゚д゚;)凸ゴッラァ

という状況なので
『本(含漫画)』はご興味があれば即買っておくべし!o( ̄^ ̄)o

因みに
現在の大友克洋はさておき
今後の大友克洋はもう一花咲かせるのでは?
とこの本から窺えるっす。彼はパワーも才能もまだ枯れていない
と私は思うです。
  
現時点で既に伝説レベルの本だと思うよー
(*^ー゚)b

投稿: kuroneko | 2015年9月21日 (月) 00時11分

すでに休刊なってますー(・・;)

投稿: 万物創造房店主 | 2015年10月 5日 (月) 02時01分

売れれている本→利益の出ているうちに絶版(ーー;)

になった臭いすね。。(ーー;;)

投稿: kuroneko | 2015年10月 9日 (金) 00時59分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 映画「お国と五平」 | トップページ | 観_15_09_20 »