「川内原発、停止の必要なし -リスク認識の誤り」
川内原発、停止の必要なし−リスク認識の誤り
2016年04月18日 06:00
石井孝明 経済ジャーナリスト
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熊本県、大分県を中心に地震が続く。それが止まり被災者の方の生活が再建される
ことを祈りたい。問題が出ている。九州電力川内原発(鹿児島県)の稼動中の2基の
原子炉をめぐり、止めるべきと、主張する人たちがいる。共産党は政府に停止を申し
入れ、同党で奇矯な行動を繰り返す池内沙織議員なども「正気の沙汰か」と騒いだ。
(産経新聞記事)停止申し入れをした文化人もいると、朝日新聞が報じた。民主党は
政府への停止申し入れを検討するという。(ニュース価値がないのでリンクしない)
九州電力や行政機関に電話の抗議をする人たちもいるようだ。筆者は止める必要は
ないと思う。私たちが現在考えるべきは「今そこにある危機」である九州の地震への
対応と人命救助である。川内原発のリスクは現時点では極めて小さく、その安全に
過度に関心を持つ人はリスク認識がおかしいし、大切な救援活動を妨害することに
なりかねないのだ。リスク感覚が間違っていないか
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[http://agora-web.jp/archives/2018678-2.html]
池田信夫を現所長とする言論プラットフォーム アゴラ[http://agora-web.jp/]の
サイトや石井孝明の記事は比較的良く読むが賛同できる記事が多い。同サイトでは
『言論』そのものの権利と責任について相対的にサイト全体としてきちんとコントロール
されており、また石井氏の記事で展開される主張については
体系全体としての重要さとプライオリティが間違っていないか?
という問題提起がいつも根底にあり、その問題提起の方向性には自分は
大概賛同できるものである。
さて、上記の記事について以下、重要と思われる主張・指摘について書き出して
みる。石井孝明氏の文章は大体において読み易く判りやすいし、上述のアゴラの
サイトには他にも有益な記事が沢山あり、日々更新されているので是非行って
読んでみて頂きたい。
(太字扱いは管理人が重要と感じる点)
("[]"内は管理人による補足的追記)
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・リスクとは、ある行動にともなって起こり得る危険の可能性」をいう。
危険事象の評価、さらにその発生確率を考えることが、リスク分析の前提だ。
・原発を止め事故ゼロにすることは可能だが、大量発電というその便益を享受
できなくなる。
・福島原発事故ではデマと政治の混乱がリスクの認識と判断をゆがめた。同事故での
放射性物質で、健康被害の可能性はないと専門家は一致。ところが恐怖から、1mSv
除染や住民避難など過剰な放射線防護対策が行われた。事故対策費用は10兆円
以上と膨らみ、必要ない避難によるストレスなどが影響して1900人以上の方が
「災害関連死」という形で亡くなった。
・原子炉がすべて崩壊し、核物質が散乱するという事態は、福島事故がそうならなかっ
たように、ほぼあり得ない。原子力規制委員会は「放射性物質セシウム137が大気中に
100万テラベクレル(福島事故の8分の1程度)漏洩する重大事故の確率を、100万炉年に
1の割合にする」という、確率の規制目標を立てている。
・九州電力は、同原発[川内原発]を福島事故前は水平地震動で480ガルとしていた。
規制委・規制庁は、科学的な根拠のないまま、それを大きくしろと示唆。九電は
自分で上げて620ガルで対策をした。
・東日本大震災の福島第1原発の揺れは550ガルと想定の倍近くなったが、同原発は
地震で壊れなかった。地盤の固い川内原発で620ガルの地震が起こるときは、
「南九州全体がおそらく壊滅する大地震」(工学者)とされる。今回の地震では川内
原発で観測された地震動(水平)は8.6ガルだった。そして事前想定では160ガル以上の
振動で、原則として自動緊急停止することになっている。
・原子炉を緊急に止める権限は原子力規制委員長が危険と認定したときで、
他の行政府の首相、原子力防災担当大臣(現在は丸川珠代環境大臣)に止める
権限はない。規制委が発足するとき政治主導で独立性を付与した。
・2011年5月に菅直人首相(当時)が法律の根拠なく中部電力に浜岡原子力発電所の
停止を要請。それを中部電力は飲まざるを得なかった。その後の民主党政権、
原子力規制委員会は法律に基づかない要請を乱発。原子力発電所は無計画に
停止した。その結果、この4年間で代わりの化石燃料費が11兆円になり電力
料金が増える形で国民負担が増加して、電力会社の経営危機が続く。
・川内原発の2つの原発の発電量は180万kW。同社の発電は夏場の最大需要で
1800万kW、春は平日で1000万kW前後だ。原発の存在感は大きい。
・国によるリスクコミュニケーションはまったく行われていない。
・不安を払拭する丁寧な説明がないから、上述のようなおかしな意見が検証も
されずに流布するのだ。日本の担当の役所は愚かなのか。それとも微妙な問題で
責任逃れをしているのか。そして政治も何もしていない。行政を監督する政治家、
この場合には丸川珠代大臣は、何も広報活動をしていない。国民の不安に応える
広報をしていないのだ。
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↑抜粋ここまで。
「善意」という感情から、または、あくまでも安全面から「原発はいかがなものか」
と主張する人々の気持ちは判るとして、3.11から丸5年が経過して、そろそろ多方面的に
データは出揃ってきたのではないだろうか。国籍は別としても、私たちの暮らし、
日本という国の経済・政治・外交を安定させていくには一体何が必要で、
何が脅威なのか。
原発はなくなれば"良い"のかもしれない。だが、法的な正当性、現実として起こり
得る範囲での運用と規制といった点について過剰なアクセル、またはブレーキが起こり
続けてきた結果、現実問題として何が起こってきたのか、今、何が起こっている
のか、これから何が起こるのかを冷静に考えねばならない時であろう。
自分達の未来と後続達の未来、国際社会の安定と貢献の為に。
原発も依然として問題であろうが、それよりも重大且つ危機的な問題も案外と身の
回りにある。そして、自分達で解決していける可能性も間違いなくある。ということに
多くの人が気付いてきているのではないかと思う。
当たり前の事であり、とても(最も)大事なことでもあるが、石井氏の記事内の
数値の記述と川内原発のウィキペディアの項の熊本地震発生時におけるガルの
値やスペックとしての発電量の数値は一致している。
『平和』・『安全』という言葉と概念を大事にする。そして、実践する。というのであれば、
こういった情報の一致と、一致させることを努める姿勢を常に持つことも
大事なのではないかろうか。
[ガル]
================================================================
ガル(gal, 記号:Gal)は、CGS単位系における加速度の単位である。その名前は、
ガリレオ・ガリレイにちなむもので、単位名をガリレオ (galileo) としている地域もある。
ガルは国際単位系では認められていない物理単位である。
1秒(s)につき速度が1センチメートル毎秒(cm/s)だけ変化するときの加速度の
大きさである。国際単位系(SI)における加速度の単位はメートル毎秒毎秒(m/s²)であり、
1 Gal = 0.01 m/s² である。
世界最大の地震による加速度は、岩手・宮城内陸地震(2008年6月14日)の際に
岩手県一関市厳美町祭畤で観測した4022ガルである。
================================================================
(ウィキペディアより)
[川内原子力発電所]
================================================================
川内原子力発電所(せんだいげんしりょくはつでんしょ)は、鹿児島県薩摩川内市
久見崎町にある九州電力の加圧水型の原子力発電所である。川内原発(せんだい
げんぱつ)とも呼称される。
2013年7月に国が定めた新規制基準に基づく審査を経て、2015年8月と9月に
それぞれ再稼働した。新規制基準に基づく再稼動は日本では初めてである。
2016年4月14日夜より熊本県・大分県を中心に連続して発生している地震
(熊本地震 (2016年))では、同月16日午前1時台の地震において鹿児島県内で
最大震度5弱、薩摩川内市内で最大震度4が記録されているが、川内原発では
異常は発生しなかった。また、広報用地震計では補助建屋最下階で8.6ガル、
補助建屋1階で12.6ガルが測定されており、これは原子炉を自動停止させる目安の
数値(補助建屋最下階で水平方向160ガル・鉛直方向80ガル、補助建屋1階で
水平方向260ガル)を下回るものであった。
1号機
出力 89.0万 kW
燃料 低濃縮二酸化ウラン
約 72 t / 年
営業運転開始日 1984年(昭和59年)7月4日
2号機
出力 89.0万 kW
燃料 低濃縮二酸化ウラン
約 72 t / 年
営業運転開始日 1985年(昭和60年)11月28日
================================================================
(ウィキペディアより)
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コメント
ま、電気の販売が自由になって
原発の発電した電気は買わないという選択肢が簡単に選べるようになったんだから
本当に必要なければ原発は自然になくなるでしょう
もうそんなに騒ぐことじゃない気がします
ちゅーか
地震が起こった後に危ない危ない言うのもアホかと…
でかい地震があったとこは当分でかい地震来ません
一番危ないのは今まで来てないとこ
安全って言われてるところです
熊本も東北も政府が御用地震学者に製作させたハザードマップでは安全地域になってました
次はどこですかねー
京都も大地震の記録はあるんで例外じゃないですけど
少なくとも
活火山がない
津波が来ない
だけで
被害がだいぶ軽減されるってものです
でも来ると店のものが全部倒れて大変なことにー
(;;;´Д`)
投稿: 万物創造房店主 | 2016年5月17日 (火) 17時51分
3.11 以来の貴重な体験、貴重なデータを基に
仮説・行動・実証・検証を繰り返して
また得た情報を適切に運用していく繰り返しすね。
原子力に関わらず。
>でも来ると店のものが全部倒れて大変なことにー
(;;;´Д`)
京都は当面、大丈夫じゃないすか。
特に根拠ないけど。。(一_一;)
投稿: kuroneko | 2016年5月18日 (水) 23時26分
京都市内に大きく被害が出たのは
1830年8月19日が最後で
その前を見ると
1662年6月16日
1596月9年5日
1449年5月13日
1317年2月24日
1185年8月13日
976年7月22日
938年5月22日
887年8月26日
827年8月11日
という感じで
だいたい50~200年周期で来てますから
少なくとも2030年頃までには大きいのが来る気もします
1995年1月17日の阪神大震災を数に入れれば
もうちょっと余裕が出ますけど
投稿: 万物創造房店主 | 2016年6月 8日 (水) 19時42分
京都に大きな被害が出た時には
他の地域により甚大な被害が出てそうですから
相対的に
京都は当面、安泰じゃないすかねー
投稿: kuroneko | 2016年6月 8日 (水) 22時27分
ま、津波が来ない
噴火する山がない
ってだけでも
東京よりかなり有利ですけどね
投稿: 万物創造房店主 | 2016年6月30日 (木) 21時44分
歴史が半端ない
文化遺産半端ない
アドバンテージだいぶ
ありますね。
まあ東京も恵まれた地域には
違いない。
日本各地が
天の利、地の利、人の利を駆使して
よりよくやってくださればよいすねー
投稿: kuroneko | 2016年6月30日 (木) 22時26分
ただ京都は
文化遺産景気に浮かれて
町並みとか全く大事にしてないんで
そのうちダメになりますよ
政治的にも
公務員市長で
維新出現前の大阪みたいに全政党スクラム談合政治ですし
投稿: 万物創造房店主 | 2016年7月 7日 (木) 16時11分
>文化遺産景気に浮かれて
町並みとか全く大事にしてないんで
正直言って、
それは行く度に感じていました。
>全政党スクラム談合政治
それもダメすねー
ジャブジャブお金が入っていくと
何でもダメになる感じすね。
投稿: kuroneko | 2016年7月 7日 (木) 23時30分
>>文化遺産景気に浮かれて町並みとか全く大事にしてないんで
>正直言って、それは行く度に感じていました。
最近最も黒いというか
悪い噂しか聞かないのがこの売却です
http://www.sankei.com/west/news/141220/wst1412200043-n1.html
跡地はマンションのようですね
>ジャブジャブお金が入っていくと何でもダメになる感じすね。
他府県より税収ちょっとは多いはずなんですけど
財政は大赤字ですよ
借金漬け
税金で食ってる人間が多すぎです。
(注↑生活保護とかじゃないですよ)
近年ではマルシェへの補助金とか出て
http://kyoto-sanjo.or.jp/craft/index.html
そこらじゅうで補助金目当てのマルシェ乱立ですよ
どう考えてもいらないでしょ
手作り市やるのに補助金
どうやら簡単に100万ぐらい出るらしく
企画会社がてきとーな企画して企画料抜いて
てきとーなマルシェして儲けてるという
行政は自分の金じゃないから
書類さえそろえばホイホイ出すらしいです
投稿: 万物創造房店主 | 2016年7月14日 (木) 22時52分
>悪い噂しか聞かないのがこの売却です
「何とか残したい。」
記事からは悲壮感が感じますが。
実情は違うのだろうか。。
こういうのに補助金出せばいいのにね。
>跡地はマンションのようですね
「京都に住む。京都にセカンドハウスがある。」
というステイタスは当面強そうだから
(1)景観壊してどんどこマンション立てる。
(2)マンションがどんどん売れて儲かってしまう。
(3)→(1)に戻る。
という悪循環なんでしょうね。
(ーー;)
>財政は大赤字ですよ
借金漬け
税金で食ってる人間が多すぎです。
(注↑生活保護とかじゃないですよ)
世界中から観光客が来て
観光資源にも当面困らない
のでそうなっちゃうのかなー(ーー;)
石油資源が世界でもトップクラスにある
アフリカの某国が
石油が国民一人当たりに対して
無尽蔵に近くあるものだから
長年の借金着け×借金漬けで
国政が完全に腐りきって
インフラもほぼ完全に腐りきって
最早人間が住めないほどに
相当危険な状態らしいのですが
ある意味ではどちらも
「構造的な問題」
で似ていますな。
投稿: kuroneko | 2016年7月16日 (土) 01時06分
>「何とか残したい。」記事からは悲壮感が感じますが。実情は違うのだろうか。。
真逆ですね
知っている人なんで詳しくは言いませんが
行間と裏を読んでみてください
>こういうのに補助金出せばいいのにね。
出てますねガッツリ
>「京都に住む。京都にセカンドハウスがある。」
こういう人ばかりになると
固定資産税ぐらいしか落としませんから
街が死にますね
また反面、築年数の古いマンションは空きがけっこうあります
>世界中から観光客が来て観光資源にも当面困らない
街を壊し続けると
寺だけの京都になり
寺も入場料で儲けて本業ちゃんとやってないところも多いですし
このままじゃいつかは終わりますよ
投稿: 万物創造房店主 | 2016年7月30日 (土) 20時29分
>行間と裏を読んでみてください
蟻地獄みたいな感じすかね。
こうなってくると一回行きつくとこまで
いかなとダメなんでしょう。
>街が死にますね
また反面、築年数の古いマンションは空きがけっこうあります
まあ、逆に
正確な情報をゲットしよう思えば出来る。
有効な対策を打とうと思えば打てる。
という意味では良い時代だと思います。
>このままじゃいつかは終わりますよ
京都って本当に凄まじく長い歴史があって
栄枯盛衰を"全部"経験していらさるからね。
「終わり」も。。(一_一;)
府民の奮起を期待したいすね。
(≧ε≦)/
投稿: kuroneko | 2016年7月30日 (土) 23時23分