アメリカ大統領選2016雑感
2016年4月末日の現在、
共和党は、ドナルド・トランプがリードし、テッド・クルーズが静かに追う展開。
民主党は、ヒラリー・クリントンとバーニー・サンダースが激戦を繰り広げている。
サンダースについては、前回の大統領選から自分はやや注目していて、
「いつの日か、こんな候補が本選に絡めばいいな」と思っていたので今回の
大統領選挙は感慨深いものがある。
さて、今回の記事は彼らがテーマではなく、ドナルド・トランプのある発言から
Web情報の大河をクルーズしてみたい(といってもウィキペディアですが)。
トランプの発言の中での「安全保障に関する発言」はよく報道されているところだ。
曰く、日本や韓国は自衛すべきである。とそうすればアメリカ(及びアメリカ軍)の
負担は軽くなる?であろうというものだ。
「韓国守る必要なし」トランプ氏に喝采送る米有権者、かつて「敵前逃亡」した
韓国軍に“根深い”不信(岡田敏彦)
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米大統領選で大方の予想を裏切り、今も共和党候補のトップを独走する不動産王、
ドナルド・トランプ氏が、在韓米軍の撤退を筆頭に、韓国を軍事的に見捨てる発言を
繰り返している。在韓米軍の撤退や核兵器保持の容認など、総じて「北朝鮮と韓国の
戦争に、なぜ米国が巻き込まれなければならないのか」との、従来の米国の軸足を
変えるような主張だが、有権者の多くに支持され、4月19日のニューヨークでの
予備選では圧勝した。身勝手にもみえる発言の裏には、朝鮮戦争で「自分たちの戦争」
を米国に押しつけて敵前逃亡した韓国軍のイメージが当時を知る人の間で浸透して
いるという事情がある。
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[http://www.sankei.com/west/news/160429/wst1604290010-n1.html]
朝鮮戦争(1950-1953)において、韓国軍の不甲斐なさに国連軍および米軍は
何度か苦しめられたことをアメリカの軍人リッジウェイは記している。上記の記事で
言及されており、ウィキペディアを見ると以下の記述がある。
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国連軍を率いたマシュー・リッジウェイ将軍は自著のTHE KOREAN の中で、退却する
韓国軍が放棄した装備は、完全装備の数個師団を充分装備可能なほどだったと述べて
いる。中国軍は、米軍、英軍ではなく韓国軍の担当区域を攻撃し総崩れとなった。
リッジウェイ将軍は「韓国軍1個師団の崩壊によって、他の国連軍部隊の各側面が
危険にさらされ後退を余儀なくされた」と述べている。
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(ウィキペディア [朝鮮戦争]の項より)
マシュー・リッジウェイという人は、そのキャリアを見ると第二大戦の英雄と言ってよく、
朝鮮戦争での連合軍の苦境を劇的に回復し38°線まで押しもどした立役者であり、
その行動は今日に至るまでリーダーシップのお手本とされ、アメリカではビジネス書の
教典の一つのように扱われている模様。日本とも重要な関係があり、ウィキペディア
には以下のように記述されている。
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壊滅寸前であった国連軍は、リッジウェイによって態勢を立て直して反撃に転ずることが
できた。軍事歴史家は圧倒的多数の中国人民志願軍が停止し、結局韓国から38度線
の向こうに撃退することができたのはリッジウェイが第8軍を立て直すことができたから
だとする。この期間に、リッジウェイ個人のリーダーシップの例は、基本的な軍事活動に
おける原則についての彼の完全な知識と同様に、アメリカ陸軍史上でほとんど一致する
ことができなかったリーダーシップの標準として定められることとなった。もう一つの重要
な任務は、連合国軍最高司令官として、連合国の占領下にあった日本を独立させて
西側陣営の一員に加えることであった。吉田茂首相との協調によってこの課題を達成
し、1952年4月にサンフランシスコ講和条約が発効して日本の占領が解除された。
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(ウィキペディア [マシュー・リッジウェイ]の項より)
余談であるが、1954年(昭和29年)に邦画界は戦後最大の当たり年を迎える
(ゴジラ、七人の侍、二十四の瞳、他、伝説の巨匠達の代表作が軒並みこの年に
集中している!)わけだが、自分はこの年の2年前のサンフランシスコ講和条約の
発効による主権の回復の影響はかなり大きいと見ている。
というわけで、日本と世界の近代史に決定的且つ重要な役割を果たしている
リッジウェイであるが、同氏のウィキペディアの項には以下の重要な記述がある。
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リッジウェイは2年間、陸軍参謀総長の職にあった事で、ベトナム戦争へのアメリカの
介入を遅らせたと歴史家に見なされる。当時のアイゼンハワー大統領はアメリカ軍が
フランス軍と合同で介入することに関して彼の判断を求めた。これに対してリッジウェイは
介入を行わないよう大統領に述べた。しかしながらその経験は、リッジウェイが
アイゼンハワーと第二次世界大戦中に保った良好な関係を試される事となった。1955年に
陸軍を退役し、後任にはかつて第82空挺師団で副官であったマクスウェル・D・テイラーが就任した。
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(ウィキペディア [マシュー・リッジウェイ]の項より)
リッジウェイは時の大統領アイゼンハワーにベトナムに介入しないように進言し、
その事でキャリアが頓挫したというのである。もしもリッジウェイがいなければ
アメリカのベトナム介入はもっと早く行われ『ベトナム戦争』は全く異なる様相を示し、
次の大統領JFKの行動と60年代の洪水のようなポップカルチャーの在り方も今とは
幾分違ったものになっていたかもしれない。
リッジウェイのリーダシップがビジネス書などで取り上げられ浸透することにより
朝鮮戦争の実態もまた米国では比較的よく知られていると上述の岡田敏彦の記事
では言及されている。
トランプの諸発言が好意的に受け取られ、躍進が続く理由は、何も鬱憤晴らし
だけではないことを我々日本人も知っておいた方がいいだろう。
もう一つ、ドナルド・トランプを追うテッド・クルーズの方がよほど厄介で
日本にも世界にも負の要因を起こす可能性が高いと指摘しておきたい。そして、
ドナルド・トランプ、テッド・クルーズ、ヒラリー・クリントン、バーニー・サンダース
のいずれの印象も存在感も我々は『報道』というフィルターに多く(または全て)を
負っており、米国市民もまた似たり寄ったりなのかもしれない。
クルーズ氏は人の姿をした悪魔…党内から酷評
2016年04月29日 18時10分 [ワシントン=黒見周平]
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共和党の重鎮ジョン・ベイナー前下院議長が、米大統領選の党指名候補争いで2位
につけるテッド・クルーズ上院議員(45)を「人の姿をした悪魔」と異例の表現で酷評し、
断固支持しない考えを示した。
ベイナー氏は27日、スタンフォード大学のトークイベントで、クルーズ氏について
「私は民主、共和両党に友人がおり、大体誰ともうまくやれるが、あの野郎とは無理だ」
と指摘。首位の不動産王ドナルド・トランプ氏(69)は「ゴルフ仲間でメール友だち」
と明かし、「トランプ氏が指名を獲得すれば票を入れるが、クルーズ氏には絶対投票
しない」と語った。
クルーズ氏は5月3日のインディアナ州予備選に向け、「反トランプ票」の結集を
図っているが、党内から思わぬ攻撃を受けた形だ。
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[http://www.yomiuri.co.jp/world/20160429-OYT1T50057.html?from=ytop_main6]
現在の各候補について管理人の一言コメント。
バーニー・サンダース ・・・ ◎ もし、就任したら世界は激変するだろう。ここまで大健闘。
ヒラリー・クリントン ・・・ ○ 予想に反してすっかり混戦に。心して後半戦を闘うべし。
ドナルド・トランプ ・・・ ○ 就任しても騒いでいるほどに変な事にならないパターンぽい。
テッド・クルーズ ・・・ × 多分、トランプの方がマシ。大統領にならないでください。
◎・・・出来るならば、大統領になってほしい。
○・・・もしも、選ばれてしまったならば、よく考えて行動してほしい。
×・・・世界は良くない方向へ向かうだろう。選ばれてほしくないっす。。
個人は『歴史』という濁流の中の泡沫ほどに過ぎないかもしれないが、少なくとも
ほぼ誰でもネットを通じて莫大な情報を得られ、考え、行動出来るという点においては
現代は、とても良い時代と言えるのではなかろうか。
2016年11月に大勢は判明する。
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