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2016年5月 1日 (日)

映画「稲妻」

「稲妻」

原作: 林芙美子
監督: 成瀬巳喜男
脚本: 田中澄江
撮影: 峰重義
音楽: 斎藤一郎
美術: 仲美喜雄
衣裳: 藤木しげ
編集: 鈴木東陽
出演: 高峰秀子,三浦光子,村田知英子,植村謙二郎,香川京子,根上淳

時間: 93分 (1時間33分)
製作年: 1952年/日本 大映

(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)
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兄弟全員の"父親"が異なる三女一男の末っ子の清子(高峰秀子)は兄弟や
周囲の人間達に漠然とした不満と「見えない警戒感」を感じて生きている。ある日、
次女の夫が突然亡くなることで清子は露骨で利己的な人間模様に直面する。。

 

「流れる」(1956)は、純然とした女性達の群像劇で、

「成瀬ワールドの決定版」

とも言える傑作だと思うが、本作は似た視点・枠組みを"家族"という箱の中で
描いている。

 撮影と美術が「あにいもうと」(1953)と同じ峰重義(みねしげよし)と仲美喜雄
(なかみきお)のコンビだからなのだろうか。両作品の世界観の"質"が似ている。

 また、成瀬作品の多くに見られる"河"、"水"のメタファーも本作には頻繁に
登場し、そうして完成されたフィルムは静かで、美しい。

 水のように、留まることがなく、ある種だらしなく、ある種潔く、ずうずしく、健気な

庶民の姿

を成瀬はいつも描く。庶民の底意地の悪さと、ずるさを暈さず描きつつもいつも、
きっとどこかで応援しているという成瀬の"揺ぎ無い視点"が作品の底にしっかりと
蓋となり、支えにも、碇にも、厚みになっていて観客はその厚みに魅了され、共感し、
溜飲を下げるのだろう。

 本作においても、表向きは慎ましく真っ当に生きようと見せていながら次女に
夫の保険金が降りると知るや、目の色を変える人々。

 本心は常に「お金」にありながら、そのことを薄っぺらい理由で隠し正当化する
人々と、清子を演じる高峰秀子の演技を超えた真っ直ぐさとが対比をなしている。

 遂に周囲に絶望し、家を飛び出す清子の前に現れる香川京子演じる"つぼみ"と
その兄の"周三"が清子の思いに寄り添い、成瀬作品の主要テーマである
「河の流れ」そして、それが「生きることそのもの自体」となる。

 

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