映画「ミサイル」
「ミサイル」
監督: フレデリック・ワイズマン
時間: 115分 (1時間55分)
製作年: 1987年/アメリカ
(満足度:☆☆☆☆+)(5個で満点)
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ICBM(大陸間弾道ミサイル)発射管理センターの訓練所の模様を追ったドキュメンタリー
・ミサイルを発射する任務の心構えを諭す教官
・軍人は国民の僕(しもべ)であること
・国人の僕たる軍人は国を守ることが使命である
・個人の考えを抹殺することなく、ロボットになることなく、軍の規定に反する命令には
従うことなく、その上で、躊躇せずにミサイル発射のキーを回すこと。
ミサイルを発射する事そのものの是非は置いておき(←置いておくのか、君。)、
指導については極めて民主的に行われ、撮影に対しても機密に触れそうな箇所
(ミサイル発射の暗号化の仕組み)についても制約があるように見えず、その姿勢
そのものが「アメリカ」という国の強さと撮影当時の民主主義国家としての自信の表れと
思われ、率直に言って好感を持った。
業務の性質上、閉鎖性の極めて高い空間というものはどんなシーンも興味深い。
それが"ミサイル発射センター"なのであれば猶更である。
教官達のミーティングも人間臭い。
脱落者の扱いをどうするか、なぜ脱落するのか、本人はどう思っているのか。
教官達の横顔には教師の姿に似た雰囲気が漂う。彼らは人間であり、祖国を守りたい
という思いを人生のどこかで抱いてミサイル発射センターという職に辿り着き、発射した
後の世界がどうなるか理解した上で、国民の命と財産と民主主義を守る一軍人として
職務を全うしようとし、同時に
「これは、訓練ではない。」
というアナウンスを聞かないでキャリアを終えたいと心のどこかで願う普通の人間
なのだ。
そして、職務そのものを希望してくる者以外にも大学の修士課程を修了するために
軍人となる人間もまた多い。
裕福でない人間が高等教育を受ける為には軍人になることは世界的に普通であろう。
だから軍属には様々な人間が集まり、組織はより強固になるという利点も確実にある。
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