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2016年11月12日 (土)

映画「こわれゆく女」

「こわれゆく女」
A WOMAN UNDER THE INFLUENCE

監督: ジョン・カサヴェテス
脚本: ジョン・カサヴェテス
撮影: マイク・フェリス,デヴィッド・ノウェル
音楽: ボー・ハーウッド
出演: ジーナ・ローランズ,ピーター・フォーク,マシュー・カッセル,
マシュー・ラボルトー,クリスティーナ・グリサンティ,ニック・カサヴェテス

時間: 147分 (2時間27分)
製作年: 1975年/アメリカ

(満足度:☆☆☆☆+)(5個で満点)
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 「壊れゆく妻」の"メイベル"を実に快活に楽しそうに演じるジーナ・ローランズが
終始、圧巻である。

 だが、自分にはメイベルは「壊れゆく女」には見えない。

 家族の「外」から見てしまえば、彼女の行動は常軌を逸しているように見えても
仕方ないが、そもそも『家族』というものは、恐らく世界共通で、傍から見たら
『おかしい集団』ではないだろうか。

 メイベルは、内なる心(子供や夫・周囲の人間も含めて楽しませたい)と思う
気持ちが強すぎるだけの女性だ。

 ピーター・フォーク演じる夫のニックがメイベルに負けている存在であることから、
メイベルの暴走を止められず、そこからメイベルの行動はより加速され、結果責任を
メイベル自身が「全て」背負わされる(=この人頭おかしい)というスパイラルを、
ジョン・カサヴェテスは確信犯的に作り、見せ、盟友であり、親友であり、戦友とも
言えるであろうジーナ・ローランズとピーター・フォーク、ソース系の顔が揃う
「ガテン系」の男達が楽しく画面を彩る。

 周囲に理解を得ることが全般的に難しいが、世の主婦達の多くが共感するであろう
魅力的なキャラクターである"メイベル"を通して、ジョン・カサヴェテスは、『夫婦』を
描きたかったのだろう。

 メイベルに肩入れする側、ニックを同情する側、ニックの母や息子達周囲の人間達に
共感する側、、観客は誰に感情移入するのか票は明確に割れるに違いない。

 ニックとメイベルは、ほんの人生の偶然で夫婦になっていて成功しているとも、相性が
いいともとても思えないカップルで、逆にそのことが一瞬も目が離せない緊張感を画面
にもたらしている。

 恐らく、ピーター・フォークはカサヴェテスの狙い通りに演じており、ある意味、妻の
メイベルとよく似ている"一方通行のオヤジ"を演じながら、

夫婦の亀裂の犠牲

となる子供達を強引に海に遊ばせに行くシークエンスは感動的で、帰りに友人に
運転を任せ、荷台で子供達と心を通わせ、ビール缶を回して飲むシーンはとても
感動的で暖かでハイライトシーンとなっている。

 "システム"の崩壊過程にも終始リアリティがあり、観客の立場によって笑える
エンタテインメントとも、或いは、妙薬とも、もしかしたら劇薬ともなる作品であろう。

 「世迷言」をワンカットで延々と見せていくジーナ・ローランズは、即興も多分に
入っていると思われ、その"受け"役の重責を担わされるピーター・フォークもまた
演じていて実に楽しそうであり、まるで舞台そのものを見ているようだ。

 これからも、ファンを獲得していく作品であり続けることだろう。

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