映画「雨」
「雨」
RAIN
原作: サマセット・モーム
監督: ルイス・マイルストン
脚本: マックスウェル・アンダーソン
撮影: オリヴァー・マーシュ
音楽: アルフレッド・ニューマン
出演: ジョーン・クロフォード,ウォルター・ヒューストン,ウィリアム・ガーガン,
ガイ・キビー,ウォルター・キャトレット,ボーラ・ボンディ
時間: 78分 (1時間18分)
製作年: 1933年/アメリカ
(満足度:☆☆☆☆☆)(5個で満点)
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とあるリゾート地の宿に2週間の滞在を余儀なくされた神を信じ生きる男
デビドッソン(ウォルター・ヒューストン)とその家族と、自由奔放に生きる女
トンプソン(ジョーン・クロフォード)。雨が降り続ける中、デビドッソンはトンプソンの
心の中の"悪"を退治しようと試みる。最初は激しい嫌悪と軽蔑を隠さない
トンプソンだったが、、
脚本が"活きて"いる。
オープニングからエンディングまでの影の主役といえる一日中降り続ける雨の
シーンと、全く異なる境遇に生きる人々の衝突、神を信じる者と信じない者の対立、
そして、物語の核心とテーマである
『人間の弱さと不可解さ』、宿のセット、全てが渾然となって活き活きとして、
観る者を圧倒し、捉えて離さない。
堅物と言われようが、軽蔑されようが、信念を曲げようもない鋼鉄の心を持つ男
"デビドッソン"をウォルター・ヒューストンがひたすら熱演する。
かたや、物事にこだわることなく生きてきた女"トンプソン"を演じる
ジーョン・クロフォードは「演じること」の面白さを我々に教えてくれる。
監督のルイス・マイルストンと脚本のマックスウェル・アンダーソンは
「西部戦線異常なし」(1930)を手掛けていて同作品はアカデミー賞(最優秀作品賞)を
受賞している。また、ルイス・マイルストンはコメディーも得意でビリー・ワイルダーや
ハワード・ホークスに大きな影響を与えたとのこと。第二次大戦後に手掛けた
「オーシャンと11人の仲間」(1960)は後年、スティーヴン・ソダーバーグによって
リメイクされ、よく知られることとなった。
音楽担当のアルフレッド・ニューマンはチャールズ・チャップリンから依頼され
「街の灯」(1931)の音楽と作曲を担当しており、同作品で使用されている曲を聴いた
ことのない人はいないと思われる。また、20世紀フォックス作品のスタジオ・ロゴに
おけるファンファーレを手掛けている巨匠である。
誰も彼もが『演じて』生きていることを、世の中が偽善に塗れていて手に負えない
世界だということを"最も知って"いたのは果たして"誰"だったのだろうか。
デビッドソンなのか、
トンプソンなのか、
デビッドソンの妻なのか、
彼の友人達だったのか、
トンプソンの恋人なのか、、、
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