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2017年11月18日 (土)

映画「煉獄エロイカ」

「煉獄エロイカ」


監督: 吉田喜重
脚本: 山田正弘,吉田喜重   
撮影: 長谷川元吉
美術: 山口修
編集: 安岡洋之
音楽: 一柳慧
出演: 岡田茉莉子,鴨田貝造,木村菜穂,牧田吉明,岩崎加根子,武内亨,筒井和美

時間: 117分 (1時間57分)
製作年: 1970年/日本

(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)
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 「エロス+虐殺」(1970)の姉妹編的作品。


 アート広告そのままに構成された画面

 

 「無機質なコンクリート」と、「女性の肢体の曲線」


 同志・査問・オルグ・人民・プロレリアート・労働者・革命・・・


 「言葉」だけが、

 実体との整合性「無視」した「定義」だけ

 厳然としてあり、

 そのことで二十四時間振り回され、互いに不信を募らせ、

 自己崩壊

 あるいは

 仲間を粛清していく様

 敢えて繋がらないカットを延々と見せることで

 喜重の諸作品に通じる冷ややかな、しかし、どこか同情的な視線を感じる。

 「辿り着けない」ことを目的化?する

 「人間」という無感地獄『煉獄』を活写している。 


 後半のアナーキーさと不連続性が拡張し、加速していく様には「8 1/2」(1963)を感じた。

 熱病そのままの(学生)"運動"の最盛期は過ぎたとはいえ、ベトナム戦争は
依然として続いており、ここ100年間の近代における臨界状態の時代にここまで
「無意味である」ことをブレずに製作できていることは驚嘆に値するのではなかろうか。

 21世紀の現代で製作されたら、そのスタイリッシュで、挑発的な喜重トーンは
やはり衝撃として熱狂的に迎えられるであろう。

 延々と続く"煉獄"に「もう止めてくれ」と何度か叫んだが、その何度目かに
どこかで苦痛が心地よく思えた自分がいた。

 音楽担当の一柳慧(いちやなぎ とし)は大河ドラマ「翔ぶが如く」(1990)を
手掛けている。同作品のオープニングテーマ曲は歴代作品においても屈指の出来
であり鮮烈に記憶している。覚えている人は多いことだろう。

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コメント

この映画
とにかく眠かったっす…

最初の30分ぐらいは楽しめましたけど
面白映像だけで2時間はつらいっす…

投稿: 万物創造房店主 | 2017年11月26日 (日) 22時18分

この二本はセットでもう一回観てみたい
気がしています。
吉田喜重にしか撮れない作品であることは
間違いない。
(~o~)

投稿: kuroneko | 2017年12月 2日 (土) 14時11分

この記事へのコメントは終了しました。

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