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2018年1月13日 (土)

映画「GODZILLA 怪獣惑星」

「GODZILLA 怪獣惑星」

監督: 静野孔文,瀬下寛之
アニメーション制作: ポリゴン・ピクチュアズ
演出: 吉平“Tady”直弘
シリーズ構成: 虚淵玄,村井さだゆき
脚本: 虚淵玄
ストーリー原案: 虚淵玄
キャラクターデザイン原案: コザキユースケ
CGキャラクターデザイン: 森山佑樹
プロダクションデザイン: 田中直哉,Ferdinando Patulli
美術監督: 渋谷幸弘
色彩設計: 野地弘納
音響監督: 本山哲
音楽: 服部隆之
造形監督: 片塰満則
声の出演:宮野真守,櫻井孝宏,花澤香菜,梶裕貴,杉田智和,諏訪部順一,
小野大輔,三宅健太,堀内賢雄,中井和哉,山路和弘

時間: 89分 (1時間19分)
製作年: 2017年/日本

(満足度:☆☆☆☆+)(5個で満点)
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 近未来の地球、人類は「怪獣」の脅威に晒されていた。突如飛来した異星人
との共闘も"ヤツ"の前では無力だった。人類は、種の存続を図るため選抜された
一部の人間を脱出させる。長い航行の果てに安住の地を見つけることが出来な
かった人々は、疲れ果て、地球に帰還することを決意する。地球では2万年の時が
経過していた。。


 "ヤツ"を主人公にしたアニメが制作されなると聞いて、当然のように
「違和感」が先に立った。

 言うまでもなく、『ゴジラ』とは、特撮映画における突出した地位を確立し且つ
不動のものとしている無二のアイコンだからだ。

 現実社会に突如として出現し、ただひたすらに破壊の限りを尽くす。

 良くも悪くも虚構の象徴(というかそのもの)でもある「アニメ」という媒体で
果たして怪獣映画は成立し得るのだろうか。

 勿論、"圧倒的に古臭い考え"であることは十分に承知している。

 だがしかし、本作の予告編を見て、しっかりと、全くのゼロベースから物語を
構築していく潔さと強い決意を感じて鑑賞することに決定。

 期待は裏切られなかった。

 人類が確実に衰退に向かっている原因が、単に"ヤツ"の出現と存在の為
そのものではなく、故郷を捨てたからというわけでもなく

 『(究極の)困難に立ち向かうこをを放棄し、闘うことから"逃げた"から。』

 という主人公 ハルオ・サカキ の自身の長年の苦悩から導かれたゆえに
揺るがない結論のシンプルさが物語をシンプルにし且つとても力強いものに
している。

 だから、

 『立ち向かい、"ヤツ"を打ち倒すことでしか人類に未来はない。』

という方向性に違和感はなく熱くなれる

 その結果が、どうであれ、目的に向かうことに周囲も同意し、あるいは、
その明確な目的に反発することでドラマは生まれていく。

 主人公の前のめり気味の思い入れに周囲が引っ張られていくがゆえに
共感する、しないは別として(共感できない方が普通の思考であろう)
無用なコンフリクトの発生も無難に防いでいる。

 SF映画の超えるべきハードルの一つとして、最重要命題の一つでもある

 現時点からそれほど遠くない未来にそこで描かれている世界のハード・ウェアと
それを制御するソフト・ウェア,ミドル・ウェアの進歩をいかに観客に納得させるか。

 があるが、本作では「人類」というキーワードを前半において手際良く拡張して
見せることでこれ以上はないほどにコンパクトに世界観の構築を果たしている
ことは称賛して良いだろう。

 さて、問題の、諸悪の根源の、勿論主役の、"ヤツ"の方ですが、、、

 ツオイ。ツオイ。ツオ過ぎる。余りにも。

 そして、それがとても嬉しい

 これほどまでに絶望的にツオくないと人類に共存を諦めさせ、尊厳を捨てて
尻尾を巻いて逃げ出させることはできないだろう。

 その極限までの強さをビジュアルはよく表現出来ていると言える。

 大地を引き裂くような音響も『破壊王』に実に相応しい効果を上げている。

 ゴジラは、巨大で、強くて、孤高であって欲しい。

 本作のゴジラもまた『哀しみの巨獣』を創り出せている点も素晴らしい。

 世界を驚かせ、楽しませた「シン・ゴジラ」(2016)のゴジラは容姿も、"背びれ"も
とても美しかったが、本作のゴジラの背びれもまた美しくて嬉すぃ。

 上映時間の89分は、正直に言えばやや長くは感じる調度良い程度か。演出上の
スピード感を重視していると思われ、これ以上少しでも長くなれば全く無駄に
冗長になったのは必至と思われ賢明な長さだと思う。

 ただ個人的には多くの点でプラスの成果に働いていると思うコンパクト感と
スピード感だが、ヒロインのユウコ・タニがハルオに惹かれていく過程や、ハルオが
リーダー・シップを発揮していく点はじっくりと描かれてよかったと思うがそうすると
全体のバランスは明らかに崩れたであろうから結果オーライなのだろう。"全世界
総検索時代・答えだけザックリと知りたい時代"の現代に相応しい演出なのかも
しれない。

 無駄(じゃない部分も含めて)を削ぎ落として必要な取捨選択を可能な限り
やったであろう対価として

 人は、どう生きるべきか。生存とは何なのか。

 この短い上映時間の中で案外、深いテーマも入れ込むことに成功している。

 人は動物であり、その歴史は闘争の歴史であり、テリトリーを侵害されれば
全力で立ち向かい、奪い返す。

 

 果たして人類は、「尊厳」を取り戻せるのだろうか?

 果たして人類は、"ヤツ"を倒せるのだろうか?


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