映画「終電車」
「終電車」
LE DERNIER METRO
THE LAST METRO
製作: フランソワ・トリュフォー
監督: フランソワ・トリュフォー
脚本: フランソワ・トリュフォー,シュザンヌ・シフマン
撮影: ネストール・アルメンドロス
音楽: ジョルジュ・ドルリュー
出演: カトリーヌ・ドヌーヴ,ジェラール・ドパルデュー,ジャン・ポワレ,
ハインツ・ベネント,ポーレット・デュボスト,アンドレア・フェレオル,
サビーヌ・オードパン,リシャール・ボーランジェ
時間: 131分 (2時間11分)
製作年: 1980年/フランス
(満足度:☆☆☆☆+)(5個で満点)
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『愛』の「複雑さ」を描いている。
『愛』を与え、受け取ることの「難しさ」を。
「遷ろい易さ」を。
劇中劇は、俳優にとって客観視できる機会でもあるせいなのだろうか。
俳優は楽しんで演じているように見える。
それとも、トリュフォーの撮影現場は、常に全員が一体となって制作に
取り組んでいるそうであるがその通りの効果が画面に出ているからなのだろうか。
また、ナチスの「本質的な不正」に対するトリュフォーの激しい怒りを主人公に
代弁させて描いている。
「本質的な不正」とは、他人の生活と心を土足で踏み荒らすこと。
そして、"それ"を恥じない事。
この二つに尽きる。
本作はトリュフォー48才の時の作品である。 脂が乗り切っている風格と品格と
プロの余裕が作品から漂う。
トリュフォーの『愛』は、単なる男女関係や映画製作や、市井の人々というそれぞれ
へのそれではなく、
もっと大きな、
「世界そのものへの愛」に昇華しつつあるように本作からは思える。
それは、悪名高いナチスという体制への揺ぎ無い怒りではあるが、「それ」を許容
している人々には向いていないという凡人にはとても出来ない高い指向を生み出し
ている。
それゆえに、登場人物達の人間の個性、強さ、弱さも描けていくということになる。
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