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2018年3月 3日 (土)

映画「御誂次郎吉格子」

「御誂次郎吉格子」
おあつらえじろきちこうし


原作: 吉川英治
監督: 伊藤大輔
脚本: 伊藤大輔
撮影: 唐沢弘光
編集: 唐澤弘光
出演: 大河内伝次郎,伏見直江,伏見信子,高勢実乗,山本礼三郎,山口佐喜雄

時間: 60分 (1時間 0分)
製作年: 1931年/日本

(満足度:☆☆☆☆☆)(5個で満点)
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 オープニングの狭い狭い船室内での立ち回りの凄まじさ。役人達にひたすら
斬りつけ転げ回る"偽"鼠小僧。

 日頃の訓練がなければそうは出来ない立ち回りである。

 お寺参りのシーンの迫真性とリアリティの素晴らしさ。無数の蝋燭と慌しく願を
掛けて往来する人々。「時代劇観ている快楽」にただひたすら酔いしれる。

 主人公の鼠小僧次郎吉がかつて盗みを働いた為に困窮の身に堕ちた男と娘。
貧民窟の描写と屈託無く遊ぶ子供達の風俗描写の完璧さ

 岡っ引きの世界、武家社会の世界、町民の世界、商人の世界、各階級には
厳然とした目に見える境界があり、それを映像化することが本来の時代劇の、
映画の本質的な役割の一つである。

 また、クライマックスの周囲を埋め尽くす"御用提灯"の美しさと構図としての
計算されたシュールな美しさ。カラーで見たら余りの美しさに失禁するかも
しれない。"御用提灯"については「切られ与三郎」(1960年)で完成を見ている。
「この首一万石」(1963)でもやはり提灯を含めた明かりにはとても気を配った撮影が
されている。どこまでが伊藤自身の拘りなのかまたは主要スタッフの手腕による
ものなのか興味深い。

 そして、「下郎の首」(1955)、「この首一万石」 でもそうであるが、伊藤大輔の描く
世界では、登場人物が主人公だろうと誰であろうと一切の『例外』は認められない。
死地に陥った人間はやがて死に至り、狂った歯車はどこまでも狂い続ける。
まるで「レオン」(1994)のような生と死の臨界の中で交差する男と女の運命。
細かに挿入される太鼓の連打。

 

 「カッコイイ」の一言に尽きる。



 

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