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2018年5月

2018年5月27日 (日)

映画「ロストワールド」

「ロストワールド」


原作: コナン・ドイル
監督: ハリー・O・ホイト
脚本: マリオン・フェファックス   
撮影: アーサー・エディソン,ホーマー・スコット,デイヴ・ジェニングス
特撮: ウィリス・H・オブライエン
出演: ウォーレス・ビアリー,ベッシー・ラヴ,ルイス・ストーン,アーサー・ホイト

時間: 55分
製作年: 1925年/アメリカ

(満足度:☆☆☆☆+)(5個で満点)
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 いわゆる"絵空事"なので、人間ドラマの部分が薄っぺらくなるのはやむを得ず
なのだが「怪獣映画」の原初からして、Aからして「こうなのか」と思わず苦笑。

 まずは、翼竜が遥か上空をゆっくりと旋廻して獲物を美味そうに啄む記念すべき
恐竜共の初登場シーンの掴みは『完璧』であり、21世紀の今観ても充分に心躍る
ものがあって実際、純粋に感動した

 当時の人々は内心で「撮影に本物を使っているのではないのか?」と思った
人もきっといたと思う。

 謎の大陸で謎の巨大生物達が思う存分暴れてくれて

 「どうせ適当にENDマーク」

 で終りかと思いきゃ、、

 後半の怒涛の展開は、スタンディングオベーションもの

 驚きよりも、「ここまでやるか」という感嘆であり、


 『90年近く前の作品』!!


なのに、それ以降の数知れない怪獣物、恐竜物の技術革新に対応した見せ方の
進歩の無さと、本作の今となれば"誰でも"出来るかとも思われる撮影テクニックに
対しての「超絶」といっても全く大袈裟ではない見せ方の圧倒的な上手さ
モブシーンとの結合のプロ振りに楽しいのと同時に哀しみも湧いてきて
マジで泣きたくなった

 本作を何度でもそのまんまリメイクするだけで世界的にヒットすることは
間違いなく(実際にそうされているわけだが)

「後続がいかに資金を投入しようが才能を集めようが研究を重ねようが
 ブロックバスターした先頭集団を越えることはあらゆる点で不可能である」

という法則は映画においてはまず不変の法則といってよく、本作においても
この法則が実に奇麗にあてはまる。

 
 今後も怪獣物(恐竜物)の「A」にして"残念ながら「Z」であり続けるだろう。
 

そして、残念であることにこそ当時のスタッフに惜しみない拍手を送りたい。
あくまでも挑戦し続ける後続達にもまた。
 

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2018年5月19日 (土)

news「星由里子死去」

  

星由里子さん、今年春に肺がん判明も映画2本撮影
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 映画「若大将」シリーズのヒロイン役などで知られる女優の星由里子
(ほし・ゆりこ)さん(本名・清水由里子=しみず・ゆりこ)が
16日午後11時5分、心房細動と肺がんのため、京都市内の病院で亡くなった。
74歳だった。葬儀・告別式は親族のみで行い、後日、お別れの会を開く。
今年に入って肺がんと分かったが、入院はせず、3月まで新作映画の撮影に
参加するなど、最後まで女優を通した
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2018年5月19日7時29分  日刊スポーツ
 
 
星由里子さん、急死 3月には元気に映画撮影も…
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 映画「若大将シリーズ」のヒロイン・澄子役で親しまれた女優の星由里子さん
(本名・清水由里子)が心房細動及び肺がんのため、16日午後11時5分、
京都市内の病院で亡くなった。74歳。18日、所属事務所が発表した。
葬儀は身内で営み、後日「お別れの会」を開く。

 星さんは「東宝シンデレラ」の出発点ともいうべき「ミス・シンデレラ娘」の
第1回優勝者。当時を知る関係者は「星さんの活躍があったから沢口靖子らが後に
続くことができた。星さんなしに東宝シンデレラの成功はなかった」と明かす。
以後、華やかさと清楚(せいそ)さを併せ持つ東宝の看板女優として活躍。
「若大将」シリーズの澄子役は星の代名詞となった。
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2018年5月19日6時0分  スポーツ報知



 「清楚」という言葉がこれほど似合う人も稀だろう。

星由里子が出てくると、"安心"・"平穏"とい空気が画面に醸し出される。
だが、星の魅力は、ただそれだけではないという点にもあったのではないか。

 特撮映画、SF作品との相性が良かったのも星由里子の端正な姿勢にも
あったのではないか。


「斬る」(1968)
「千曲川絶唱」(1967)
「世界大戦争」(1961)
「妻として女として」(1961)


 フランス映画の諸作品に見られる人の内面に斬りこんでいき人間としての
"形"が顕になっていくような作品に出演したとすれば星由里子という人は
きっと輝いて演じられたのではないか。

 鑑賞した作品の中では「千曲川絶唱」での彼女はとても輝いていた。

 清楚で、男に阿らない、正義と道徳を知っていて、ユーモアも持ち合わせてる。
そんな役を演じられただろう。そんな作品には、生涯で出会えたのだろうか。

 これからも星由里子と作品を通して出会いたい。

 お疲れ様でした。ありがとうございました。 

 

[星 由里子]
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星 由里子(ほし ゆりこ、1943年12月6日[1] - 2018年5月16日)は、
日本の女優。東京都千代田区鍛冶町出身。身長164cm。千代田区立今川中学校
を経て精華学園女子高等学校卒業[1](吉永小百合は1年後輩)。
所属事務所は東宝芸能。

成瀬巳喜男、岡本喜八、福田純監督作品に度々起用され、文芸作品から
アクションまでをカバー。

世相を映したファッションや明るいイメージが広く支持され、癖のない
庶民的な美貌で「清く正しく美しく」を社是とする東宝の健全なお嬢さん
イメージを代表する1人とされた。同路線の先輩には司葉子がおり、
映画衰退期に差し掛かったこともあったが、怪獣映画にも出演したことから
子供たちにも親しまれ、二十代半ばを過ぎてからは悪女的な役柄にも意欲を示した。
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(ウィキペディア日本語版)[2018年5月19日 (土) 04:38 UTC] 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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映画「港の日本娘」

「港の日本娘」


原作: 北林透馬
監督: 清水宏
脚本: 陶山密
撮影: 佐々木太郎
作詞: 大木惇夫,野口雨情
作曲: 江口夜詩,高階哲夫
出演: 及川道子,井上雪子,江川宇礼雄,沢蘭子,逢初夢子,
斎藤達雄,南条康雄

時間: 分 (時間分)
製作年: 1933年/日本 松竹鎌田

(満足度:☆☆☆☆+) (5個で満点)
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多感な年頃の娘達の心の機微を戦局が悪化する前の街の風景を交え
繊細な映像で描く。

 ヘンリー、砂子、ドラ(愛称)の三人がお互いに気を使う余りに、傷ついていく。
砂子は最初にヘンリーに気を寄せながら、夜の女に身を落とす。

 人物の画面からの退場シーンを歩き去るのではなく、舞台のようにフェードアウト
で表現したり、砂子とヘンリーの踊りのシーンで不自然に二人の足に編み物の糸が
絡まったり、全体的に実験的と思われる映像が多い。

 少女と青年の三人が一つの淡い時空を共有してからそれぞれが大人になった
後の惨いエゴイズムに塗れた「現実」を主に砂子の視点から描いているのでどこか
夢の中のような非現実感的な描写が本作の描いている「物語」そのものとして
構築されて洗練されている。現在において制作された作品としても十分に通用
して世界中で評価されるであろうプロの仕事だ。

 戦前の横浜の街並みの光景の戦後と見まごうばかりの先進性にただただ涙。

 船舶の見事さ。人々のハイレベル且つハイセンスな暮らし。

 たった十年間でほとんど何もかも失い、たった数年間の政治的な
破局を半世紀以上も償い続け、永久に償い続けることも保証しかねない
異常極まる世界を生きてること
をワンシーン、ワンシーンごとに思い知る。

 1930年代に世界はとてつもなく大きく歩みを間違えて、現在に至るまで
根本的な補正は何らされないままに傷口の空いた世界を我々は生きてることを
本作を含めて『映画』は告発している。
  

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2018年5月13日 (日)

映画「千曲川絶唱」

「千曲川絶唱」


監督: 豊田四郎
脚本: 松山善三
撮影: 岡崎宏三
美術: 幡野豊治郎
編集: 広瀬千鶴
音楽: 佐藤勝
出演: 北大路欣也,宮口精二,星由里子,田中邦衛,都家かつ,いしだあゆみ,
上田忠好,石井伊吉,平幹二朗

時間: 102分 (1時間42分)
製作年: 1967年/日本

(満足度:☆☆☆☆+)(5個で満点)
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トラック運転手の五所川肇(北大路欣也)は、友人と一緒に血液検査を受けたところ
ある病気の兆候が見られた。看護婦の浮田奈美(星由里子)は、五所川に治療を
受けるように説得を試みる。。


 松山善三の脚本、、岡崎宏三の撮影、北大路欣也星由里子の熱演の
アンサンブルを料理する豊田四郎とてもバランスの良い好編

 北大路欣也演じる五所川の病名の発覚と、その理由は、事実の積み重ねと
分析が格段に進んだ21世紀も20年近くが経過しようとしている『今』となっては、
ミス・ディレクションであることはほぼ確定し、それ自体は「良い事」であると
言える。時代はとにもかくにも進んでいるということだから

 本作の真の価値は、物語のベースの大きなミス・ディレクションを正しく
減算したとしても、尚且つマイナスにはならないという"凄さ"に尽きる
だろう
。それゆえに今後も生き残っていく作品の一つと思える。

 自分の運命を悟った五所川を演じる北大路の熱演と、その思いを献身的に
受け止める星由里子演じる奈美の『生きる』ことへの誠実さはタイトルの"絶唱"
に相応しい

 本作の『真価』は、薄幸の肯定なぞにではなく、

 命そのものの現在進行形そのものへの強い肯定

 病になったことすらも肯定しようとするほどの命そのものへの賛歌の振れの
無さにある

 クライマックスであり、白眉であり、映画史に残る名シーンと言っていい奈美の
乗る列車をひたすら追いかける北大路のトラックのシーンの脅威のダイナミズム
は素晴らしいの一言でテーマの追及とも完全に符合する

 本作は、ラストまで随所で"映像で魅せる作品"でもあり、本作における撮影の
岡崎宏三
の貢献は実に大きい。影の主役と言っても決して過言ではない。

 命を奪うほどの病魔に襲われた時に、人は他者を恨めしく思い、辛く当たり、
その事を悔恨し、多くを失った後にようやく命の『尊さ』と日々の人生の素晴らしさに
気が付くパラドックスの映像化への結実。

 北大路欣也と星由里子は、脚本の意図をよく理解し、ただ若くエネルギーが余って
いるということではなく『生きている』ということを絶唱する演技を見せていて作品の
ボルテージと気品を上げていて尚且つ「清々しい」

 いしだあゆみ演じる心までも病魔に侵されてしまった憐れな娘すらも強く内包して
いく『命』そのものの尊さと熱さ。 

 松山善三の脚本は、事態に対しての人の行動に焦点をフォーカスすることに
無駄が無い。だから、「ひき逃げ」(1966)などの地味なテーマの作品であっても一級の
エンターテインメントになり得るのだろう。

 それにしても、自分の琴線の触れる作品への宮口精二の出演の確率の高さよ。
宮口精二出演作品に外れ無し




 観客に何を伝え、見せるべきなのか。

 豊田四郎松山善三岡崎宏三宮口精二は、「知って」いる。


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